骨髄バンク登録者・幹細胞提供者の行動経済学的特性

行動経済学, 13, pp.32-52, 2020. [本文リンク]

共同研究者: 大竹文雄(大阪大学)・ 重岡伶奈(大阪大学)・ 吉内一浩(東京大学)・ 樋田紫子(東京大学)・ 黒澤彩子(伊那中央病院)・ 福田隆浩(国立がん研究センター中央病院)

要約

本論文では,骨髄バンク登録者のうち移植患者との適合通知を受け取った人へのアンケート調査と大阪大学の一般の人へのアンケート調査を用いて,骨髄バンク登録者,幹細胞提供者と一般の人との特性の違いの有無を検証した.主な結果は,つぎの通りである.第一に,骨髄バンクに登録する人や幹細胞を提供する人は一般の人と比べると,利他的で,時間割引率が低く,リスク許容度が高い.第二に,定期的献血者や臓器提供の意思表示者は幹細胞提供確率が高い.第三に,有給ドナー休暇や有給休暇が取りやすい環境で,幹細胞提供確率が高い.第四に,同調性が高い人は骨髄バンクに登録する可能性が高いが,幹細胞提供の依頼があった際に提供をしない傾向にある.第五に,登録者と提供者の時間割引率と現在バイアスは阪大サンプルと比較して低いが,現在バイアスを含む時間割引率が高い人が幹細胞を提供する確率が高い.